ここでは食物酵素が豊富に含まれている食べ物(発酵食品・野菜・果物)を紹介しています。
日本の伝統的な発酵食品である納豆や味噌(みそ)には、脂肪の分解を助ける酵素である「リパーゼ」が含まれています。また、この酵素には内臓脂肪や皮下脂肪の燃焼を助ける働きがあると言われています。
特に納豆には、リパーゼ以外にも「ナットウキナーゼ」というたんぱく質分解酵素が含まれています。ナットウキナーゼには血栓溶解作用があり、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果があるとされています。
さらに納豆に含まれる納豆菌は腸内で活性化し、自ら善玉菌の働きをし、悪玉菌を減らしてくれます。しかもそれと同時にビフィズス菌などの善玉菌まで増やしてくれる腸内改善の働きもあると言われています。
善玉菌が増えると、腸内細菌が分泌する酵素の量が増えるというメリットがあるため、納豆は数ある発酵食のなかでも、体内の酵素を増やすうえで非常に有効な食品だと言えます。
大根にはでんぷんを分解し、体のエネルギー源である糖を作る酵素である「アミラーゼ(ジアスターゼ)」が豊富です。それ以外にも、たんぱく質分解酵素であるプロテアーゼや脂質の消化を助けるリパーゼといった消化酵素も含まれています。
さらに、焼き魚の焦げに含まれている発がん性物質「ベンツピレン」の解毒作用があることで知られている「オキシターゼ」も含まれています。よくサンマやサバなどの焼き魚の側らに大根おろしが添えられているのには理由があったのです。
根の部分にはビタミンC、葉の部分にはカロテンや食物繊維が多く含まれていますが、ビタミンCは補酵素、食物繊維は腸内環境の改善に役立ちます。また、大根に含まれるイソチオシアネートという成分は植物に含まれる化学成分「ファイトケミカル」の一種で、特に皮の部分に多く含まれ、大根をすりおろしたり切ったりすることで、酵素の働きによって生成されます。
このイソチオシネアートには強い抗がん作用や、人間の体に害を及ぼす細菌の力を弱める効果があるとされているため、免疫力を高めるのにも大根は有効な野菜です。
「世界一栄養がない野菜」と言われているキュウリですが、2011年に「ホスホリパーゼ」という脂肪分解酵素が発見されたため、キュウリには脂肪を分解してくれる働きがあると言われています。
また、この脂肪分解酵素であるホスホリパーゼは分解力が強い新型の酵素で、血液をサラサラにしたり、体を温めたりする作用があるそうです。ちなみにこのホスホリパーゼはすりおろすと増えるとされています。
特に脂肪はたんぱく質や糖質と比べると酵素が消化の過程で分解するのに時間がかかるとされており、分解しきれなかったものは体に溜まりやすいため、揚げ物や天ぷらなど、脂っこい揚げ物などを食事で摂る際には、キュウリをすりおろしたものを副菜として一緒に食べるのが良さそうです。
バナナにはでんぷんを分解する酵素「アミラーゼ」が豊富に含まれています。時間の経過と共に、バナナが黒くなるのは、バナナ自体に含まれる消化酵素が消化を進めているからだと考えられています。
また、バナナには抗酸化物質の一種であるポリフェノールが多く含まれています。ポリフェノールには細胞をサビつかせて様々な病気を引き起こす「活性酸素」を取り除く「抗酸化作用」があるとされており、老化や生活習慣病などの予防効果も期待出来ます。
パイナップルにはたんぱく質を分解する酵素「プロテアーゼ」に分類される「ブロメライン」が豊富に含まれています。パイナップルが肉を柔らかくしてくれるのは、このブロメラインの働きによるものです。
また、ブロメラインには腸内の老廃物を分解する働きもあるとされています。さらに、たんぱく質分解酵素のプロテアーゼは消化を促すだけではなく、中性脂肪の分解をサポートし、体脂肪の蓄積を防ぐ働きもあると言われています。
そのほかパイナップルには補酵素や補助因子となるビタミン類やミネラル類も豊富に含まれています。
りんごには炎症を起こした粘膜を回復させる酵素など、様々な種類の酵素が含まれていると言われています。また、皮の部分にも多くの酵素が含まれています。さらに酵素はすりおろすことで量が数倍に増えるとされているため、皮をよく洗ったあと、スロージューサーやおろし金で皮ごとすりおろすと効果的に酵素を摂ることが出来ます。
ほかにも強い抗酸化作用をもつ「りんごポリフェノール」や、食物繊維の一種であり整腸作用がある「ペクチン」などがりんごには豊富に含まれています。それに加えて胃腸の調子を整えたり疲労の回復を促したりするクエン酸・リンゴ酸も含まれていますので、風邪をひいた時などは、消化にも良いすりおろしりんごをおすすめします。
非加熱の蜂蜜には、良質な糖類、活性型のビタミンやミネラル、アミノ酸、有機酸、ポリフェノールなどの栄養素がバランスよく含まれているという特徴があります。
また、アミラーゼ、ジアスターゼ、グルコースオキシターゼ、ホスファターゼなどの酵素が含まれているため、食べ物の消化を助けてくれますし、胃腸の調子も整えてくれます
さらに、蜂蜜に含まれる糖類は、ミツバチの酵素によって、最初からブドウ糖と果糖に分離しています。そのため、砂糖(ショ糖)や炭水化物のように、糖質の分解のために体に負担をかけないのです(消化酵素の消耗が少ない)。
そのほか、ミツバチだけではなく、昆虫が分泌した酵素も加わった「甘露蜜(ハニーデュー・ハニー)」には、一般的な蜂蜜よりも多くの酵素が含まれているとされています。