酵素とは?

酵素とは?

「酵素」は 体内では化学反応を起こさせる触媒(仲立ち)として働き、免疫機能を維持したり、自然治癒力を正常に保ったりするのに役立っています。

 

また、60兆個以上の細胞の新陳代謝を促し、再生や修復、神経系やホルモン系の調整などにも関わっているため、その存在なくしては私たちは生命活動を維持することは出来ません。

 

そのような働きをする酵素(enzyme)とは生命力そのものに関係している、たんぱく質に覆われた物質のことで、車でいえば「バッテリー」のような存在です。ちなみに酵素栄養学の祖であるアメリカのエドワード・ハウエル博士は、触媒となって休むことなく様々な化学反応を起こしている酵素のことを「生命の光」だとしています。

 

たんぱく質の一部にすぎないと誤解されてきた酵素

 

ところで、酵素は一般的にはたんぱく質の一部だと理解されていますが、酵素研究の第一人者である鶴見隆史氏は、たんぱく質(アミノ酸)は酵素を殻として包み込み、体内の必要な場所に運ぶための運び屋にすぎず、確かに酵素はたんぱく質を含んでいますが、生命力としての酵素の独自の働きとは無関係だとしています(鶴見隆史『「酵素の謎」 ―‐なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか』 第1章「酵素の謎」 参照)

 

また、胃腸内視鏡外科医の新谷弘実氏によれば、酵素は「たんぱく質性の物質」であり、生命活動の根源に関わっているのだと言います。(『病気にならない生き方』『酵素力革命』など参照)。

 

このことに関してはエドワード・ハウエル博士も、「酵素は活動エネルギーを充電したたんぱく質と考えることができる」と述べています。(『酵素栄養学』参照)。

 

その酵素の正体については様々な意見があります。

 

しかし長年の間、単なるたんぱく質だと認識されてきたために発見が遅れたうえ、酵素はナノサイズの目に見えないミクロの物質であり、量子力学の分野が関わってくるほどその働きの観察が難しいという理由もあるため、実はまだ解明されていないことのほうが多いのです。

 

「代謝」と「消化」は酵素の重要な働き

 

しかし、体内においては栄養素を分解してエネルギーを取り出し、組織や器官を作り出す「代謝」と、食べ物を分化して吸収しやすくする「消化」という、 二つの大切な役割を果たすことは分かっています。また、それ以外にも体内に溜まった毒素や食物の残滓を分解する「解毒」という働きもあります。

 

さらに酵素は遺伝情報にも関与しており、RNAからのDNAの合成に関わる逆転写酵素の存在や、たんぱく質のメチル化・アセチル化などにも触媒として働くなど、ヒトの生命において重要な役割を担っています。

 

また細胞内のミトコンドリアが「ATP」と呼ばれるエネルギー通貨を生み出す際には、ATPアーゼという酵素が必要になります。

 

そのほか近年は若返りや老化に関与しているとされるテロメラーゼという酵素の存在も注目されています。このように酵素は人体のいたるところで生命維持のために重要な役割を果たしているのです。

 

ちなみに、酵素は現在、20,000種類以上存在することが判明していますが、代謝の働きをする酵素は3000~5000種類以上、消化の働きをする酵素は24種類であるとされています。

 

これらの酵素が「体内酵素」としてからだの中に存在しているからこそ、人間は生命活動を続けられているのです。

 

また、一生のうちに作られる酵素の量は人それぞれで決まっており、その酵素の総量は「潜在酵素」と呼ばれることがあります。その「潜在酵素」がほとんど尽きてしまうと、人間は寿命を迎えてしまうことになります。

 

それに加え、酵素は一日に生産される量も決まっているため、日頃から酵素の消耗を避け、それと同時に補充していくことが、寿命を延ばし、病気を防ぐための鍵となります。

 

そのため何よりも大切なことは、まず、酵素が人間の体内で非常に重要な働きをしているということに気づくことだと考えられるのです。

 

そして、これまでの生化学的な栄養素の働きだけではなく、生命の根幹に関わる酵素と五大栄養素の重要性を結びつけたのが「酵素栄養学」なのです。

 

ちなみに、代謝の働きをする酵素は直接外から補充することは出来ませんが、消化の役割を果たす「食物酵素」は、生野菜や果物、発酵食品などを食生活に採り入れることによって、普段からでも補うことが可能です(詳しい酵素の摂り方についてはこちらのページを参照してください)。

 

外から摂取された酵素の効力が失われることはない

 

食物酵素は胃酸によって効力が失われてしまうので意味がない、という説明がインターネット上でしばしば見受けられますが、酵素研究の鶴見隆史氏によれば、酵素は胃酸で効力が失われないものと、失われたように見えて小腸でよみがえって活動する二種類があるそうで、完全に効力が失われる酵素は無いといいます。

 

このことに関しては酵素栄養学の祖であるエドワード・ハウエル博士が、「最近ヨーロッパで行われた実験によると、唾液中のアミラーゼや栄養補助食品としての酵素は、十二指腸や腸の下部で力を取り戻すことが確認されています。このことは、栄養補助食品としての酵素も食品に含まれる酵素も、腸内の分泌液によって再び活性化されることを示しています」と述べています。

 

ちなみに近年は消化酵素を効率的に補充するための酵素サプリメントが日本でも多く販売されるようになっているため、生野菜や果物といった食べ物以外からでも食物酵素が手軽に摂取できるようになっています。

参考文献

鶴見隆史 『「酵素」が免疫力を上げる! 病気にならない体を作る、酵素の力』 永岡書店
鶴見隆史 『酵素の謎――なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか』 祥伝社新書

新谷弘実 『病気にならない生き方 ミラクルエンザイムが寿命を決める』 サンマーク出版

新谷弘実 『酵素力革命 「ニューザイム」を活性化する生き方』 講談社

内藤眞禮生 『水素の力 酵素の力 人類を助ける究極の栄養素』 アスペクト

エドワード・ハウエル 著 川喜田昭雄 瀬野川知子 訳 『キラー・フード あなたの寿命は「酵素」で決まる』 

(原題『ENZYME NUTRITION/酵素栄養学』 現代書林

ディッキー・フュラー 著 竹内進一郎訳 『病気を癒し、老化を防ぐ酵素の治癒力』 現代書林

ジム・アル=カリーリ ジョンジョー・マクファデン 著 水谷淳 訳 『量子力学で生命の謎を解く』 SB Creative

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