活性酸素を減らす酵素の働き

活性酸素を減らす酵素の働き

酵素には「代謝」と「消化」という二つの大事な働きがありますが、それ以外にも「スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)」や「グルタチオンペルオキシターゼ」といった酵素が、活性酸素を除去するという大切な役割を果たしています。

活性酸素とは、電子と酸素が結びついた物質のことを指します。体内の細胞のミトコンドリアが摂取した食物を一度電気エネルギーに変換し、ATPと呼ばれる物質を生成する際に必ず発生してしまうものです。

 

また、呼吸の際に取り入れる酸素の2%は、活性酸素になると言われています。

 

そして、この活性酸素は酸素が電子を吸収する毎に、「スーパーオキシドラジカル」、「過酸化水素」、そして「ヒドロキシルラジカル」と、次第に酸化力が強いものになっていきます。

 

さらに、紫外線を浴びても一重項酸素という活性酸素が発生します。これらの活性酸素は健康な細胞を攻撃して酸化し、老化を促したり遺伝子を傷つけたりすることから、悪玉の活性酸素と呼ばれることがあります。

 

活性酸素には、がんから護るという働きもあるため、全てが悪者というわけではありませんが、活性酸素が増えすぎると、体内での弊害の方が多くなるため、出来るかぎり体内の活性酸素を減らしていくことが、老化や病気の予防になり、日頃の健康維持にもつながっていくと言えるのです。

 

また、現代社会は、人体のエネルギーの産生時以外にも、この活性酸素が発生する要素で溢れ返っています。例えば加工食品などに含まれる食品添加物が体内に入ると、解毒のために酵素が分泌されますが、この時にも活性酸素が発生すると言います。

 

さらにストレスも活性酸素を生み出す原因の一つです。ストレスを受けた際には副腎皮質ホルモンが分泌されますが、この副腎皮質ホルモンは合成する時にも分解する際にも活性酸素が発生すると言われています。

 

そのほか大気汚染や水質汚染などの環境破壊、家電や通信機器から発生する強い電磁波、喫煙や過度の飲酒など、様々な要因が活性酸素を発生させる要因になっています。

 

この活性酸素が細胞を酸化させるのを防ぐには、ポリフェノール(アントシアニンやイソフラボン、カテキンなど)やカロテノイド(βカロテンやリコピンなど)といった抗酸化物質を豊富に含んだファイトケミカルを食事から摂り入れることが有効だとされていますが、実は酵素にも強い抗酸化物質としての働きがあります。

 

最初に発生する活性酸素であるスーパーオキシドを除去するのはSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)ですし、次に発生する過酸化水素を攻撃するのはグルタチオンペルオキシターゼです。

 

酵素はエネルギーの産生に関わっていますが、その副産物として発生する活性酸素の処理までも請け負っているのです。

参考文献

新谷弘実 『病気にならない生き方 ミラクルエンザイムが寿命を決める』 サンマーク出版
新谷弘実 『病気にならない生き方2 実践編』 サンマーク出版

新谷弘実 『健康の結論 「胃腸は語る」ゴールド篇』 弘文堂
鶴見隆史 『「酵素」が免疫力を上げる! 病気にならない体を作る、酵素の力』 永岡書店
鶴見隆史 『酵素の謎――なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか』 祥伝社新書

内藤眞禮生 『水素の力 酵素の力 人類を助ける究極の栄養素』 アスペクト

活性酸素を減らす酵素の働き―酵素免疫生活