消化不良を防ぐ酵素

消化不良を防ぐ酵素

消化不良を防ぐ酵素のポイント

  • 三大栄養素の消化不良によって起きる「腐敗」「異常発酵」「酸敗」は、腸内環境を悪化させる。
  • 消化不良はアレルギーの原因ともされている「リーキー・ガット症候群」を引き起こす。
  • 日頃から消化不良を防ぐには、体内に消化酵素を増やし、少食を心がけるよく噛んで食べることが大切。

消化不良で引き起こされる腸内環境の悪化

酵素は消化不良を防ぐのに役立ちます。

 

消化不良」とは、食べ過ぎや早食い、加工食品などの摂り過ぎによって、食べ物の三大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)が消化酵素によって十分に分解されないまま腸に達してしまうことです。

 

それにより三大栄養素は腐敗し、腸内環境を悪化させ、生活習慣病や大腸がんなど、様々な病気の原因になってしまうのです。

 

まず、三大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質を摂り、消化・吸収されて腸に送られると、腸内では「発酵」「腐敗」「異常発酵」「酸敗」という四つの現象が起こるようになります。

 

このなかで「発酵」と呼ばれるものだけは健康に向かいますが、残りの三つは消化不良が原因で引き起こされる現象であり、からだに悪影響を与えてしまいます。

 

まず「発酵」は、炭水化物という基質で起こる現象のことです。オリゴ糖やデンプン、食物繊維といった質の良い炭水化物を適量食べている時に腸で起こります。

また、この「発酵」が起こるのは腸内の微生物である善玉菌が働き、有機物を分解している時です。その際有機酸とガスが発生しますが、このガスは二酸化炭素と水素、メタンガスであるため、臭いはまったくありません。

 

さらにこの時に免疫力の向上に大きな力を発揮し、健康の維持に寄与する「短鎖脂肪酸」という有機酸が作り出されます。

 

腸内環境を悪化させる「腐敗」「異常発酵」「酸敗」

 

次の「腐敗」は腸内の悪玉菌(腐敗菌)がたんぱく質という基質にたかるために生じる現象です。

 

たんぱく質は膵液や腸液に含まれる様々な酵素によって小腸で消化され、 アミノ酸になっていきます。しかしたんぱく質の過剰摂取や酵素の不足によって消化不良を起こしてしまうと、吸収されなかったたんぱく質は大腸に停滞して腐敗の大きな原因になります。

 

消化不良によって生じた過剰アミノ酸や不消化たんぱく質は、悪玉菌が分解していきますが、これが「腐敗」で、この時にアミノ酸代謝産物である「窒素残留物」 が出来上がります。

 

この「窒素残留物」は人体にとって大変有害なものであらゆる病気の原因にもなります。代表的なものとしてはスカトール、インドール、アミン、フェノール、硫化水素、アンモニアなどがあり、腸内を腐敗させるこれらの有害物質は、さらに強烈な発がん物質であるニトロソアミンを作り出すと言われています。

 

ちなみに、これらの様々な有害物質は、血液を汚す原因にもなります。

 

毛細血管がよどむことによってそれを取り込んだ細胞は混乱し、生み出された大量の老廃物が組織に停滞するようになるのです。その結果、血行不全などが引き起こされ、様々な生活習慣病を招くようになります。たんぱく質の過剰摂取によって消化不良が起こった場合、多くの弊害が生じてきてしまうのです。

 

三つ目の「異常発酵」は炭水化物の摂り過ぎで起こる現象です。「発酵」は炭水化物が適度の量であるため、からだにとって良い影響をもたらしますが、食べ過ぎや寝る前の間食などで過剰に摂取してしまうと、やはり腐敗を起こしてしまいます。

 

それに加え、加熱食が多いことも、食物酵素が働かずに消化作業が進まないために腐敗を起こす原因になるとされています。酵素が消化しきれなかった炭水化物は腸内で腐敗した残留物になりますが、この時のオナラは臭くなります。そのため、腸内の環境が「発酵」状態か「異常発酵」なのかは、オナラの臭いで区別する ことが出来ます。

消化不良を防ぐ酵素―酵素免疫生活

脂肪の過剰摂取によって引き起こされる酸敗

最後の「酸敗」は脂質が腸内で酸化することによって生じる現象のことを言います。

 

酸敗での問題は、大腸の悪玉菌が繁殖すること、「二次胆汁酸」ができてしまうこと、その二次胆汁酸が出来る際に、悪玉菌が腸内のアミノ酸を引っぱてきて、先程述べた「窒素残留物」が作られてしまうことです。

 

「二次胆汁酸」とは、一般的な胆汁である一次胆汁酸が腸内細菌の悪玉菌によってリトコール酸、デオキシコール酸に変化したもののことです。

 

一次胆汁酸は、膵液の持つ消化酵素を活発にして、脂肪やタンパク質を分解して腸から吸収しやすくしたり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促したりする働きがあり ますが、二次胆汁酸は猛毒であり、特に窒素残留物によって作られる「ニトロソアミン」と一緒になると大腸がんの大きな原因になると言われています。

 

また、「酸敗」によって生じた毒素が全身に回るようになると、痛みやコリの症状になり、最終的には生活習慣病や難病、臓器のがんなどにつながっていきます。

 

「酸敗」は脂肪の過剰摂取によって引き起こされます。さらに、劣化した油や酸化した油、水素添加によって人工的に作られた「トランス脂肪酸」など、質の悪い脂肪の摂取も「酸敗」の大きな原因だとされています。

 

このように、三大栄養素の消化不良によって引き起こされる「腐敗」「異常発酵」「酸敗」は、悪玉菌を増殖させることで、腸内細菌の集まりである腸内フローラの状態をひどく悪化させてしまうのです。

 

アレルギーも引き起こすリーキーガット症候群

 

さらに消化不良は、本来は大きすぎて取り込まれるはずのない栄養素が、分子レベルにまで分解されないまま小腸から取り込まれてしまうという「リーキー・ガット症候群」を引き起こすとされています。

 

「リーキー・ガット症候群」は食物アレルギーやアトピー性皮膚炎といったアレルギーの原因であると言われています。

 

そのため、消化不良によって深刻なアレルギー症状が起きないよう、食事をする際は普段から少食を心がけ、よく噛んで食べることが何よりも大切になってきます。

 

また日頃から体内酵素の無駄遣いを避けるとともに、消化を助けてくれる食物酵素を野菜や果物の食べ物から補っていくことも消化不良を防ぐ秘訣です。

 

それに加えて、「酵素黒酢革命 」や『病気にならない生き方 』の著者である新谷弘実氏が開発した新谷酵素など、様々な野菜や果物、発酵物による酵素が含まれたサプリメントも、毎日の食べ物の消化を助けてくれます。

参考文献

新谷弘実 『病気にならない生き方 ミラクルエンザイムが寿命を決める』 サンマーク出版
新谷弘実 『病気にならない生き方2 実践編』 サンマーク出版

新谷弘実 『健康の結論 「胃腸は語る」ゴールド篇』 弘文堂
鶴見隆史 『「酵素」が免疫力を上げる! 病気にならない体を作る、酵素の力』 永岡書店
鶴見隆史 『酵素の謎――なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか』 祥伝社新書

内藤眞禮生 『水素の力 酵素の力 人類を助ける究極の栄養素』 アスペクト

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